成年後見制度は、認知症などで判断力が低下した方の権利や財産を公的に守る仕組みです。これまでは「一度利用を始めると亡くなるまでやめられない」という、いわば出口のない仕組みが利用をためらわせる大きな要因となっていました。しかし今、この制度は利用者のニーズに合わせた柔軟な形へと大きく変わろうとしています。
最も注目すべき変化は、必要な時期に限定して支援を受ける「オーダーメード型」への転換です。例えば、親族が亡くなった際の遺産分割協議や、管理が難しい空き家の売却といった特定の目的がある時だけ利用し、その手続きが完了すれば制度を終了できる仕組みに見直されます。必要な時だけ適切な助けを受けられるようになることで、利用者や家族の心理的・経済的な負担軽減が期待されています。
一方で、知っておくべき現実もあります。弁護士などの専門職が支援者に選ばれると、本人の財産から月額の報酬が支払われ続けます。また、財産保護を重視するあまり、本人が希望する買い物やリフォームが細かく制限され、生活に不自由さを感じるケースも報告されています。
支援の担い手については、家族が希望した場合の選任率は85%を超えています。日常のサポートは家族が、複雑な手続きは専門家が担当するといった役割分担も可能です。また、多額の預金を金融機関の仕組みで保護すれば、家族が支援者として選ばれやすくなる工夫もなされています。
これからの備えとして、スマートフォンで手軽に作成できるデジタル遺言の導入も進められています。デジタル化によりハンコも不要となり、意思表示の壁が低くなります。元気なうちに「将来どうしたいか」という意思を整理し、周囲に伝えておくことが、自分らしい人生を最後まで全うするための大切な鍵となります。
完全版は会員様のみ閲覧可能です
