介護保険制度が始まってから四半世紀が経った。当初は夢のような仕組みに見えたが、今や事業所の倒産が過去最多を更新し、認定を受けてもケアマネジャーが見つからない「介護難民」という言葉が現実のものになりつつある。この制度を次の世代まで持続させられるかどうか、それは今を生きる高齢者一人ひとりの行動にかかっている。
介護保険の本来の目的は「自立支援」だ。お世話をしてもらうことが目的ではなく、自分らしく生きるために必要な力を取り戻すことにある。ところが現場では、本人がまだできることまで介護スタッフが代わりにやってしまうケースが絶えない。良かれと思った「手伝い」が、実は本人の役割を奪い、心身の機能低下を招いていることを忘れてはならない。
もしスタッフが自分でできることまでしてくれようとしたら、「これは自分でできます」と伝えてほしい。反対に、以前はできなかったことが今できるようになったなら、「できるようになりました」と声に出してみよう。担当スタッフにとって、それは何よりもうれしい報告だ。自立を目指すケアプランを立てているケアマネジャーであれば、状態が改善されたとき、サービスを適切に見直していくはずである。
介護度が下がることを「損」と感じる人もいるかもしれない。しかし考えてみてほしい。介護サービスを限度額いっぱいまで使うことは権利として間違っていない。だが、自分でできることを増やさなければ、意欲も体力も確実に衰え、やがてもっと重い介護が必要になる。制度の財源は、あなたの孫や子の世代が納める税金と保険料で支えられている。そこに過剰な負担をかけ続ければ、彼らが高齢者になったとき、同じ制度の恩恵を受けられなくなるかもしれない。
「できること」を諦めず、日常のなかで体を動かし続けることは、自分の誇りを守るだけでなく、現役世代の重荷を軽くする行動でもある。孫やひ孫のために今日からできることを、一つ始めてみよう。要介護度が低くなることは、間違いなく「良いこと」なのだから。
