ピンピンコロリを手放した先にあるカッコイイ生き方

「最期まで元気で、ポックリ逝きたい」——「ピンピンコロリ」はそんな願いを込めた言葉だ。気持ちは誰もがよくわかる。しかし現実には、突然死できる人は全体の約1割程度で、多くの人は誰かの手を借りながら晩年を過ごす。その事実を見据えることが、後半の人生を豊かに生きる出発点になる。

 

大切なのは、ピンピンコロリを目指して力むことではない。「事実を明らかに見極める」という意味での「諦め」——つまり現実を受け入れること——から、本当の豊かさが始まる。身体が思うように動かなくなっても、自分の意思で選び、決める「自律」は失われない。生活の継続性、残存能力の活用、自己決定の尊重——これらは介護の根本原則であり、生きることの根本でもある。

 

「誰かに頼ることは迷惑をかけること」という思い込みも、手放していい。赤ちゃんから老人まで、人は支え合いながら生きている。助けを求めることは、相手に「出番をプレゼントする」ことでもある。本当の自立とは、「助けてと言える相手が街に複数いること」だという考え方がある。

 

年齢とともに幸福度が高まる傾向があることも知られている。比較や競争から解放され、今日の一杯のお茶、窓の外の空の色、誰かとの何気ない会話に喜びを見つけられるようになる。これはエイジング・パラドックスと呼ばれる、世界共通の現象だ。

 

そして「そこにいて、笑顔でありがとうと言えるだけで、周りの人が救われる」——この一言が、すべてを言い表している。何かを生産しなくていい。穏やかにそこにいること、感謝を伝えること、機嫌よく老いを下ること——それが、次の世代に「老いることは怖くない」と伝える、最大の贈り物になる。


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